黒豆仙人
この記事は大人向けなので、
漢字が苦手な人や、考えたりするのが苦手な人は、
この先を読まないで下さい。
読める人は、武術のなんたるかを理解し、
多様性を知ることができます。
また生活や世界についての物の見方が、
ほんのちょっと変わるかもしれません。
武術は大まかに3つの分野がある
武術を大まかに分けると、
以下の3つの分野に分けられます。
- 健康法
- 型演武
- 護身術(格闘技、散打も含む)
たとえば、カンフーの代表的な拳法、太極拳。
同じ太極拳という名を冠しても、
これを健康のためだけにやっている人、
型の美しさを追求する人、
格闘技としてド突き合いをしている人、がいます。
分けられるというのは、もとは戦闘技術であったものが、
それぞれの分野に枝分かれて専門化が進み、
各指導者らが「これぞ本物の武術です」と言っているからです。
もちろん、
これらははっきりと三分野に分かれているわけではなく、
型演武と格闘技を7:3の割合でやっているとか、
その比重は指導者によっても、練習者によっても違います。
それは、武術はこうでなければならない、
というルールはないからです。(競技やマナーはあります)
だから武術は多様性に富み、
十人十色で100人いれば100通りのやり方があります。
黒豆の娘ラン
では、なぜ武術が多様であるのか説明しましょう。
なぜ武術は多様化するのか?
武術が多様化した理由は2つ。
- 武術は歴史が長いから
- 生き残るにはあらゆる分野の努力が必要だから
中国武術はどうやって始まったかって、
原始時代の狩猟や外敵相手に石槍や弓を使ったのが、
その起源だと考えられるそうです。
(中国古代武術 任海著、中国武術史概要 余水清著)
中国武術に限らず、
何百年何千年と長く技術の継承をしてくれば、
武術が単なる肉弾戦のド突き合いだけの枠に収まり切らないのも、
当たり前でしょう。
なぜって、人間社会で生きるには様々な知恵と工夫が、
必要になるからです。
たとえ話をします。
あなたは弓や槍で戦っていた戦国時代の、
戦士として異世界に転生しました。
戦士なので人と戦いますし、そのための訓練もします。
戦闘はもちろん、
訓練するだけでも身体は使っていれば壊れてきます。
すると、健康や応急手当、薬についても知識が身についてきます。
さらに効率的に敵を破壊する為にも、
解剖学や医学、薬学(毒殺など)にも、
関心が出てくるでしょう。(健康法、医学、薬学など)
もしあなたが単独でなく人と協力する集団行動、
部隊の指揮官などを任されたら、
どうしたら集団で有利に戦えるかという集団戦闘について、
考え、学ぶでしょう。(戦術、軍学)
これがさらに規模が大きくなると、
戦略になります。(戦争論、孫子の兵法)
切った張ったの流血沙汰を経験していくと、
あなたは“戦うことのリスク”に否応なく気づくでしょう。
「もし、話し合いで解決できたら?」
直接の戦闘がはばかられる場合も含め、
あなたは言葉で有利に事を進められると気づけば、
話術を磨くことも必要だと思うでしょう。(弁論、交渉術、心理戦、情報戦)
ですが、そもそも戦わないか、
戦わずして勝つのが最もよいことは、
無意味な論戦を展開する愚かな人々を見ていれば、
古人に学ばずともわかると思います。
(孫子之兵法、謀攻篇:不戰而屈人之兵、善之善者也)
これは、洗練された武術であるほど、
相手とまともにぶつからないこと(卸力)や、
力を利用する(借力)という技術が豊富にみられます。
(日本の柔術、合気道、太極拳など)
領主など責任ある立場になると、
自領の存続のためにあなたは稼ぐことについて考えるはずです。
領民の衣食住の確保はもちろん、
武器を買ったり、情報を得るためには、
経済力こそが重要だからです。(ビジネス手法、政治手法)
平和な時代となればどうなるでしょう?
戦士であるあなたの持ちスキルが格闘技だけだとしたら、
格闘技の道場を開くのも方法の一つです。
ところが平和な時代だと、
好き好んで格闘技をやる人は少ないです。
そうなると、
武術の立ち居振る舞いをより見栄えをよくして、
人に見せるショービジネスとして発展させたほうが、
ウケがよいことがわかると思います。
(型演武、競技套路、雑技、京劇など)
「いや、そんなもの武術じゃない! 基本は個人の格闘こそが真の武術だ!」
と、原理主義的な意見もあるでしょう。
しかし、法治国家で安全な時代に、
殺人技術がどれだけ需要があるでしょうか。
格闘にこだわるなら、あなたは安全に配慮してルールを決め、
試合を行なってスポーツ化させるか、
殺傷力の低い護身術にいたるはず。
(空手や柔道などスポーツ化、護身術)
このように単純な戦いが出発点でも、
武術は様々な分野へとつながりと発展性があり、
技術の蓄積とともに多様化していくことがわかると思います。
多様であることは、
武術が複雑でわかりにくい原因でもありますが、
もしあなたが多様性を認められるのなら、
武術がもたらす無限大の可能性に気付くことでしょう。
根っこは個人の格闘ですが、派生したものも含め、
これらにすべて共通している命題は、
活きるためにしているということ。
まとめ
- 武術には健康法、型演武、護身術の側面がある
- 武術は戦闘技術から発展して多様化した
- みんな違っても武術のそれぞれの形
以上、武術の多様性について解説してみました。
で、武術って、結局何なのか。
黒豆仙人
武術は自分が生き残ること(survive)だと考える人もいますが、
必ずしもそうとは限らないのは、
型演武や格闘技を修めたところで、
生き残ることとは関係がないからです。
活きる(comfortable)ため、と考えるならば、
それらはすべて武術だといえるし、
自分がイキイキすること、
快適であることを追求する姿勢は、武術と言えるでしょう。
活きること、活かすことこそ武術の真髄。
ここまで読んで下さったあなたが、
より活き活きして、快適でありますように。
次回、お楽しみに。
[…] 知っておくと理解が深まる、武術の多様性 […]
[…] 知っておくと理解が深まる、武術の多様性 […]
[…] 知っておくと理解が深まる、武術の多様性 […]
[…] 知っておくと理解が深まる、武術の多様性 […]
[…] 武術の多様性について、黒豆仙人の見解ですが興味があれば、続きは下記リンク先へ。 […]
[…] 知っておくと理解が深まる、武術の多様性 […]